私が建築士制度について記事を書いたのは9月11日が最後だったが、12月14日朝日朝刊に、構造設計1級建築士・設備設計1級建築士の専門2資格を創設する改正建築士法が、13日、衆議院本会議で可決、成立されたとの小さな記事があった。
2年以内に施行されるそうな。具体的な法律の詳細は記載されていない。
忙しくて新聞に目を通していなかった時期もあったかと思うが、9月以降、朝日新聞朝刊、読売新聞朝刊で、この問題を取り上げていた記憶がない。
ブランクを埋めるためにもネットでちょっと調べてみた。
共同通信では11月30日時点で、建築士の業務の専門分化に対応するため、5年以上の実務経験があり、講習を受けた1級建築士を対象に国が構造設計1級建築士 設備設計1級建築士を新たに認定。高さ20メートルを超える建物などは、原則として認定を受けた建築士が構造設計や設備設計する。と報じていたようだ。
共同通信社は10月24日付けで、ネットで以下の情報も流している。
政府は24日の閣議で、高さや床面積が一定以上の建物の構造や設備設計を行う専門の建築士を認定する制度の創設などを盛り込んだ建築士法など3法の改正案を決めた。今国会に提出、成立から2年以内(一部を除く)の施行を目指す。 耐震強度偽装事件の再発防止策で、6月の建築基準法などの改正に続く第2弾。 建築士法改正案では、構造と設備で5年以上の実務経験があり、講習を受けた1級建築士を「構造設計1級建築士」「設備設計1級建築士」として認定。高さ20メートルを超える建物などの構造設計と、3階建て以上で延べ床面積が5000平方メートル以上の設備設計などは専門の建築士が行う。 建築基準法改正案は、建築士が設計した木造2階建て以下の建物について、耐震性などの強度審査を省略できる特例を廃止、建築確認時の審査を義務付ける。
建設業法改正案では、分譲マンションの工事業務などを一括して下請けに出す「丸投げ」を禁止する。
建通新聞社でも12月1日で報じている。付帯決議には建築設備士の有効活用、設計報酬の適切な見直しなどを盛り込んだ。としている。
「構造設計1級建築士」「設備設計1級建築士」は1級建築士をベースに構造分野、設備分野の専門性を認定し、一定規模以上の建築物について、資格者による関係規定の適合性チェックを義務付ける。
建築士事務所に所属する建築士、構造設計1級建築士、設備設計1級建築士には一定期間ごとの講習受講を義務付ける。11月29日に開いた衆議院国土交通委員会で国土交通省の榊正剛住宅局長は「定期講習の受講は3年ごとを想定している」と答弁。また定期講習では修了考査を行い、「不合格となった建築士には再受講を求める」との考えを示した。
施行日は原則として公布から2年以内。ただし、建築士法のうち構造設計1級建築士、設備設計1級建築士による適合性確認などは、施行日から6カ月以内に適用開始する。
と報じている。
また、10月24日付けだが、日経住宅サーチというサイトでは、
設備設計で3階建て以上・床面積5000平方メートル超の建物について、新資格の建築士による設計か、法に適合しているとの専門家の証明を義務づける。
とも報道している。
この専門家というのが、建築設備士、1級管工事士、関連技術士のことなら、いくぶん建築設備技術者等は救われるが、今のところはっきりしたことは判らない。
結局のところ、建築士制度というのは、もともと、土建国家日本の特殊性でおかしなものだったし、大学等の建築技術教育も明治維新から、国際的におかしなもので、大学の建築学科改革なんかも手付かずということだと、小手先の改正では、よけい改悪でしかないということだろう。この点は、医療・医学、法学とも事情が異なる。さらに、日本だけの問題だけでなく、国際的にも、現行の建築産業・建築教育等が時代にミスマッチということに対応するにもほど遠い。さらに建築構造技術に関しては日本が有数の地震国であるという特殊事情が重なる。
ネットで調べた手ごたえとして、従来の建築構造技術者、土木構造技術者よりも従来の建築設備技術者からの反発の方が大きいことが上げられる。発端を耐震偽装問題と捕らえると、トバッチリと考えている向きもあろうかと思う。そもそも従来、実力のあるダメ出しを生じない、クライアントに対し説明能力のある建築設備技術者は、建築学科、機械学科、電気学科と出身に関係なく、資格ありなしかかわらず、実務においては実質的には建築士等は眼中になかっただろう。建築士は設備に関してデタラメ、適当、生半可を言う傾向がありそうだ。良くてカタログ・業者営業の受けうりである。
一方で、構造技術者が、今回を自らの地位確立の機会と、十分に反発しなかったのは、能力と責任を建築士の名の下で、あいまいしておいた方が得策と考えたフシも考えられる。
普及し得る耐震技術等で、建設市場を冷え込ませないだけの、信頼根拠がないのだろう。学者レベルからしてそうなのであろう。ようするに、技術者として主体的に責任を負える能力に自信がないのだ。従事している根拠が自らの技術者の資質・見識に基づくものではなくて形式的な他力本願なのである。まず地震国日本において、非地震地帯である欧米と遜色なくコンクリート建造物をつくることありきに抵抗する術を持っていない。疑義を感じるほど、本格的な能力を発展させてはいけないが前提だろう。ようするに建築士がオバカでいた上で、世間様には建築士のやっていることに疑問を持つなということなんだろう。建築学科等を支える、ごく一部を除いた、やたら数が多い、決して直接には責任を負わない、無能な学者達のクッションとしての制度でもある。
この点も、先端見識を国際動向と見劣りしないように、心がけなけらばならない、医学、(日本ではITが著しく劣ってはいるが)衛生学、法律学、会計学、財政学、検査分野、測定分野等の学問とその関連資格等とは事情が異なる。
私は、もし建築構造設計や建築設備環境の設計者を1級建築士の中から選んだら、水準の低い者から選ぶ、カスの中からカスを選ぶと言ったが、まさにそんな感じにもなりそうだ。
しかも試験でなくて講習でとなれば、講習受講料目当て、しょうもない講師の雇用創出、天下り先創出と疑われる。しょうもねぁなと、旧1級建築士試験に付き合って、着実に構造設計の研鑽に努めたていた方々はやれやれという感じだろう。ちゃんとした構造設計技術者であれば、適性のない他の1級建築士では、太刀打ちできないような、まともな試験を課して欲しいと願う、ところではないだろうか? そうしたちゃんとした構造設計者を雇っている事務所にとっても、講習の時間の経済ロスは大変なものである。
建築士試験と言えば、「日建学院」「総合資格」という2大ガリバー受験産業企業があるそうな。試験会場だろうか? 駅から会場まで、受験生相手にすごい営業活動の列を見たことがある。来年また受験する人とか2次製図試験対策の受講生をつのっているのだろう。特にT定規で鉛筆の2次製図試験受験講座がドル箱なんじゃないだろうか?
助成金があるのだろうか?何十万円もする授業料だそうで、大問題でもある。
ネットでは、財団法人日本建築センターというのを問題にしているところもあった。建築技術教育普及センターなどもあり様々な癒着等を想像させる。
今回の圧力団体としては、既得権者である1級建築士らより、これらの団体が凄かったのかも知れない。
設備技術者のお立場から11月6日時点で、以下のような意見が掲載されているブログ(建築設備雑談掲示板)もありました。
大企業では既に一級建築士を持っている人に設備(構造)設計一級建築士を取らせて、名義を使うだけ(今までと一緒)、中小業者にしても、この先団塊の世代が定年を迎え、フリーの建築士が巷に溢れ返ります。そうした人たちを設備(構造)設計一級建築士に仕立て上げ、嘱託扱いの安い給料で雇い入れれば何の問題もありません。
反論もあったようですが、私はそうしても良いし、そうすることが、クライアントの利益になると思われます。今回の専門1級建築士の存在は対価報酬、安心に値するものとは思われません。建築士制度(同時に日本の建築学科等)は(起源・素性が露呈して)そこまで地に落ちて救いがたいものになったとの認識段階かと思うのです。依然、専門であれ、そうでなきにあれ、1級建築士の背後に、ちゃんとした構造設計技師、設備環境技術者等がいないことが心配です。
私は、前に述べたけど、視覚芸術の興味の一環として、美術史の1つとして建築、建築家について、少なからず勉強をしたことがあると言いました。と同時に勤労者として一応、現役の技術系だし、さらには自分の分野で、より良い科学技術者でもありたいし、将来、引退、隠遁できたならば、ネットで、良い勝手教育者のまねごともしたいと思っている。その立場からも、この建築士についても、今後も見守っていきたいと思っている。
ただ、これは言えると思う。建築士というのは、今回もダメで、よほど大きく変革しないと、それをもっぱら商売道具にして生きるという意味では、相対的にもっとひどい低額所得者にならざるを得ないだろうということだ。また多くの建築学科、土木学科はどの他学科と較べても数多く、実質閉鎖に追い込まれるだろう。不人気学校ならなおのことである。
私は朝日新聞、読新聞等が関連をあまり取り上げないのは、おおむねそれを予測しているからだと思う。批判すれば、日建学院、総合資格、建築教育普及センター等の営業妨害になり(それは正義かも知れないが)、肯定すれば、大枚をはたいて、時間浪費して資格取得したものの収入にならないという、サギまがいの国家の資格商売に加担したことにもなる。触れるにリスクが大きすぎるという、大局的な見地を持っているのではとも想像してしまうのである。とるに足らぬ些事として無視したいのではとも思うのである。
以下は今回、参考にさせて頂いたサイトです。ありがとうございました。
●晴天とら日和:「耐震偽装隠蔽問題」安倍晋三は、そも、なにを考えているのだ?! - livedoor Blog(ブログ)
外郭団体等、天下り先との関係。メディアへの不審。私と想いを同じくすること多々。
10月30日の
●人事のブレーン社会保険労務士日記:
の 建築士の新免許という記事。
医師、弁護士の資格についても触れられています。
●再発防止へ改正法案閣議決定 - 不動産で絶対後悔しない!!(有)エストサービス代表 榎本 正次郎のブログ - 楽天ブログ(Blog)
耐震偽装問題は毎日新聞が一番取り上げているそうな。